甘い記憶と神さま

ヘッドホンを装着、再生ボタンを押し目を閉じる。

目を閉じたまま広がる世界。そこはどこか懐かしい地下のジャズバーで、まだ誰もいないステージにはどこか寂しそうな楽器たちが静かに昂りのときを待っているかのように思える。音もなく出されたウイスキーを流し込み、のどが焼ける感覚に酔いしれていれば突然雑音が消え照明が落とされ、空っぽのステージに光と視線が集まる。陽気なジャズのイントロ。演者に触られ吹かれることで息を吹き返す楽器たちの喜び。満を持して登場したボーカルの瞳に宿るギラギラした光の中に純粋な悦びが見えて、彼は何者だと考える間もなく始まった「スローバラード」。

ふざけるなと、してやられたと恍惚な表情で思う。ステージと私の場所とで距離は確かにあるのに、まるで目の前で私だけのために歌っているかのように錯覚する。周りの景色は見えない。瞳を閉じて歌うその姿に、彼には何が見えているのだろうかと思う。「悪い予感のかけらもないさ 僕ら夢を見たのさ」と歌う彼の幸せそうな顔を見て何が見えていても良いかとすぐに考え直す。赤いマイクコードを手首に巻いて歌う姿に胸が焦がされる。

1曲目が終わった後の心地よい疲労感がにくい。何よりも、歌い終わった彼が世界で1番幸せそうな顔をしているのだから堪らない。

バンドメンバーと声を掛け合わせ歌いだした「マンピーのG☆SPOT」。歌詞が卑猥だとか歌い方がどこか艶めかしく感じるとか、そういう次元の話ではないのだと悟る。ここぞとばかりに大きい瞳を開いて、間違いなく視線で観客を射貫いている。歌の節々に彼の楽しくて堪らない声が聞こえる。歌の終わりに笑い、次の「ファンキーモンキーベイビー」の始まりでも笑い、その後すぐにバンドの力強さに圧倒される。ずるいなと思うことはもう止めにした。気が付けばダンスフロアと化している空間に煽るかのような声。すべてが堪らない。

小休憩をはさみ、その間に口当たりが柔らかくなった薄い酒を口に含む。再びスポットライトが付くころには状況が一変する。バンドメンバーがぐっと減りキボードにのせて歌い上げた「First Love」。女性目線の曲がどこか男らしさも放ち、強がりに隠れた寂しさと切なさに心打たれる。初恋は叶わない。忘れることもできない。忘れたくもない。それまでモノクロだった世界にハモリが登場することで一気に色が付き始める。まだ悲しいラブソングがどこか明るく聞こえる。

どこか明るい空気そのままに「元気を出して」を歌い上げる彼の足元にはいつの間にか投げ込まれた花束がある。曲が終盤になるにつれて、まるで草原の中で歌っているかのような色とりどりの花に囲まれ、子供みたいな表情で歌う彼の目尻に刻まれた皺が幸せを物語っているかのように思う。愛おしいと思った。こんなにも表情が変わるのかと、決して大きいとは言い難い彼がステージ上の誰よりも大きく見えた。

照明が変わる。急に切なくなった。彼の歌がそうさせた。かつてそばにいた「君がいないから」、愛し合っていた「君がいないから」、会いたくなった「君がいないから」。まるで彼の大切な思い出の一部を覗いているかのような気になる。続く「言葉にできない」もどうしようもなく切ない。自然と目から涙が溢れ、ぼやけた視界のなかで必死に彼の姿をとらえる。一瞬の静寂が長く感じる。歌いだしたその声が空間を震わせる。「貴方にあえて本当に良かった」まるで今生の別れのように悲しく歌う姿に静まり方の知らない震えた胸が共鳴する。

Sweet Memories」、その名前の通りの甘い記憶。大人になった彼が甘い記憶を呼び起こす。かつての恋人に残していた気持ち、「幸せかい」と聞くのはあまりにも酷じゃないか。色あせた気持ちもすべて遠い記憶だと、それが甘い記憶だと歌うから結局は未練が残っているけれど前を向かないといけない。歌詞のままに想いを載せて歌う姿に、自分のかつての思いまでも重なることがくすぐったくて小さく微笑んでしまう。

ウイスキーはもうなくなってしまって、バンドと共にボーカルの彼が口元に微笑みをのせながら静かにその場所を去った。鳴りやまない拍手。アンコールの声。それをどこか放心状態で見ている私はまだ彼の余韻から立ち上がれていない。1人、また1人と客が消えて残された私と今は何もないステージを見てようやく我に返る。

ヘッドホンを外す。目を開ければそこは何の変哲もない自室。机の上に置かれた2枚のアルバムとCDプレイヤーを見て長い夢の中に迷い込んでいたと知る。

渋谷すばるの「歌」。どこまでもまっすぐに歌を歌うその姿に感じる、濁流のように押し寄せる感情をどうにか言葉にしたくて、ただフィクションを交えすぎて展開が分からないと思うのだけれど、この感情を大切にしたい一心でしたためた物語。神さま、どうかな。これが私の甘い記憶。

 

 

こんにちは、神さま

単なる思いつきで始めてみました、初めまして。忙しや恐ろしやの就活生なので本当に自由気ままで、もしかしたらこれが最初で最後かもしれないそんなブログでございます〜。


ブログの名前が「ハロー、ジーザス」ということでですね、それに因んだお話をさせて頂けたらなと思う次第ですね。ジーザス。大変言いやすい。声に出して言いたい、ジーザスクライス。

お先に簡単な自己紹介をね、したいなと思うんです。どーもー、ジャニオタです。関ジャニ∞が好きです。好きになって3年?4年?まだまだヒヨッコですね。ただ1つ言わせてほしい、私の中で3年も好きが持続しているなんてことは今までになかった!基本的に熱しやすく冷めやすい、好きになったらそればっかりにハマって飽きて嫌いになることが非常に多かったんです。そんなわけで中学、高校の青春を部活に注ぎ込み遅ればせながらジャニーズにハマったのは大学生になってからですね。顔は知ってた、嵐さん。お母さんがお茶の間ファンでした、SMAPさん。そんな私が関ジャニ∞にどハマリ致しました。忘れもしない夏の日。きっかけは何だったのか、そこは4年も前の事なのでね覚えてないやい、ってことで記憶が曖昧なところは割愛しちゃいますね。たまたまLIFE目の前の向こうへのMVをPCで発見したんです。ちょうどその時ビックリするくらいに心が疲れていまして。イントロからサビまで一気に見て、あっという間に心が救われたんですね。今までかかっていた心のモヤがすーっと消えていったんです。これは凄い!とまぁハマりました。漁れるだけ漁りました。気になってとことん調べました。分からないなりに何時ぞやのMCレポなんて見ちゃっていました。まぁ、1ヵ月で飽きると思ってたんです正直。それが飽きない。1年たっても全く飽きない。むしろどんどんハマっている。テレビに映ると釘付けで、関ジャニ∞という単語に起こされて、って生活を繰り返していたら入会しちゃっていましたファンクラブ。そしてすぐJUKEBOX。初めまして、東京ドーム。忘れもしない2階席41ゲート。隣に入ってくれたのは嵐ファンの大学の友達で東京ドーム慣れっこで大変心強かった。初めてだからよく分からないなりにグッズ全部買いました。ツアーが始まるとテレビで見ていた人たちがここにいると思っただけで涙が止まらなくてオープニング映像で本人達が登場する前にボロ泣きして、いやはや20歳近くになってまで泣くものかと思ってましたけど、泣きましたね。この瞬間に一生付いていこうって、私が生きて彼らが生きているまで応援し続けていこうと思ったわけです。自分で言うのも何ですけど良い話です。思い出しても良い話です。

そしてごめんなさい。少しだけ時間を巻き戻します。ファンクラブに入るにあたって困ることがありました。いわゆる「あなたは誰推し?」ってやつですね。あれには本当に悩みました。みんな好きだ!1人に選べるわけないだろ、と。でも選ばないとファンクラブに入れない。何というジレンマ。しょうがない、単純に「渋谷さんの歌声好きだな」っていう直感でいこうと。やっとファンクラブ入れたー!やったー!っていうところでThe Covers!ありましたね、The Covers。1曲目の「ラヴ イズ オーヴァー」でぎゅいんと胸を締め付けられましてね、そこからはもう息をするのも忘れて溺れていきました。好きは留まることをしらないなぁと毎回初恋のように惚れ惚れしているわけです。

あれ?何を言いたいのか自分でもさっぱり分からなくなってきたところで、とりあえず今回はお終いにします。単純に渋谷さんの歌声が好きだなって思われた3年前の私と同じ迷える子羊さんたちは2月10日に発売されるアルバム「歌」を手に入れてみたら良いと思うんです。泣きたくなるくらいの愛を語り合いましょう。